横浜市立大学は、新型コロナウイルス抗体検出を目的とした「定量的」かつ「大規模」に測定することが可能となるシステムの開発を行い、速やかに社会に導入するための研究を開始する。
2020年3月に、横浜市立大学の梁明秀教授を中心とする研究グループは、新型コロナウイルス感染症に罹患した患者の血清中に含まれる抗ウイルス抗体(IgG)の検出に成功し、診断法の確立や試薬キットの開発を進めている。
今回、この抗体検出技術を用いて、横浜市立大学と東ソー株式会社、関東化学株式会社が協働で、新型コロナウイルス抗体を「定量的」かつ「大規模」に測定できるシステムの開発を行う。具体的には、①高感度、特異的に検出できる研究試薬・システムの開発(高性能化)、②高い検査効率・大量測定の実現(スループット化)、③臨床検体の測定を通じた抗体検出法の実用化を柱とする。3つの課題をシームレスに実施し、開発した測定システムが速やかに社会に導入されることを目指す。システムの社会実装の可能性が示されれば、将来的には疫学研究の実施やパンデミックに備えた技術革新が期待される。
現在、新型コロナウイルスに対する新しい検査法、特に抗体検査についてその臨床的意義や、信頼性に関する知見、科学的根拠がいまだ十分ではない。開発する検査法の利点を最大化し、実臨床に役立てるためには、抗体検査法の性質や特徴を科学的に検証し、感染後の時間経過にともなう検査結果の変動やその解釈に関する確実な理解が極めて重要とし、これらの問題を明確化して評価方法に関する考え方などを整理していくとしている。
参考:【横浜市立大学】日本医療研究開発機構(AMED)の補助事業により「新型コロナウイルス抗体検出を目的としたハイスループットな全自動免疫測定方法の開発及び同測定方法の社会実装に向けた研究」を開始します