放射線医学研究所、筑波大学を含む日韓の複数の研究機関から成る研究チームはトゥレット障害の症状を持つサルを作出することに成功しました。トゥレット障害の治療法は確立されておらず、研究のためのモデル動物の開発が急務となっていました。
研究チームはサルを使って音声チックの症状を再現することを試みました。脳の中で筋肉の運動に関わっている部分、特に発声に関わる部位に着目して薬物で興奮状態にしたところ周期的な発声がみられるようになったのです。さらにこのサルの脳活動を測定したところ、3つの部位が連動していることが分かりました。これは正常なサルでは観測されないものです。これらの部位の活動が発生のタイミングと一致していることも突き止めました。
こうして音声チックのモデル動物を作出することに成功しました。さらに症状が現れるメカニズムとして、脳の3つの部位が異常な連動を示していることを突き止めることができました。ヒトの脳と似ているサルで発症メカニズムが明らかになったことで、治療法の開発にもつながることが期待されます。