金沢工業大学と共同で生体磁気計測技術の研究開発を進めている株式会社リコーは、2016年1月27日~29日に東京ビッグサイトで開催された「第15回国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」で、斬新かつ先駆的な技術および製品に送られる『nano tech大賞』を受賞しました。
受賞した技術は、金沢工業大学、株式会社リコー、東京医科歯科大学が共同で研究開発を進めている脊磁計を用いた技術「脊髄機能の見える化」です。脊磁計とは脊髄神経の活動に伴って発生する磁場を体表面で検出し、神経信号の電流の位置や大きさを可視化する装置です。神経が発する磁場は極めて微弱なため、超電導量子干渉素子(SQUID)と呼ばれる高感度の磁場センサを使って検出しなければなりません。
1999年から、金沢工業大学先端電子技術応用研究所は東京医科歯科大学整形外科と共同で超電導センサによる脊髄誘発磁場の研究を進めており、世界で初めて脊磁計の開発に成功しました。2014年に株式会社リコーが共同研究開発に加わり、高度な画像処理技術を提供したことで、さらに完成度の高い脊磁計試作機が実現し、実用化に近づきました。
現在開発中の脊磁計を用いることによって、体に傷をつけることなく体の外から観察する無侵襲な脊髄神経の機能検査ができるようになります。MRIなどの他の画像診断装置と組み合わせれば、より正確な手足の麻痺・しびれなどの原因部位の特定が可能となり、これまで診断が困難だった脊髄疾患の診断に役立つことが期待されています。