東京大学生産技術研究所の関本義秀准教授、矢部貴大短期来訪国際研究員らの研究グループが、携帯電話から取得される位置情報を用い、東京都市圏で新型コロナウイルス緊急事態宣言発令前後の人々の行動を解析したところ、自宅外での対人接触率が3月上旬は平時の6割程度、緊急事態宣言発令後の4月中旬は平時の2割程度に減っていることが分かった。
東京大学によると、研究グループには関本准教授らに加え、ヤフーと東北大学大学院情報科学研究科の藤原直哉准教授、大阪市立大学大学院生活科学研究科の和田崇之教授、米パデュー大学のサティシュ・ウックスリ教授らが参加した。
研究グループは接触数を100メートルの距離圏内に30分以上滞在した人数の平均値とし、接触率をコロナ禍以前の1月平日の平均値に対する割合と定義した。そのうえで、携帯電話から発信される大量の移動軌跡を解析し、都市圏内で人々がどの程度他の人と接触しているのかを定量化した。その結果、平時に比べて緊急事態宣言前の3月上旬は自宅外での接触率が6割、緊急事態宣言後の4月中旬は2割程度になっていた。
接触率の減少には東京都内で地域差が見られ、平均所得の低い地域は高い地域より減少率が低かった。
これまで携帯電話の位置情報から特定地域の人出を推定する調査研究はあったが、人々の接触を定量化する研究はなかった。