京都大学が特色入試の実施結果と29年度以降の予定を発表
平成28年度入試の大きな話題は、現在の大学入試改革論議に先行する形でスタートした東京大学の推薦入試と京都大学の特色入試。
結果はすでにマスコミ等で報じられているが、京都大学は3月30日に、高等学校、塾・予備校を対象に、平成28年度の実施結果および平成29年度以降の変更点等について説明会を開催した。初年度は様子見の学校も多かったとの声も聞かれるが、当日は、日頃から入試関連の説明会に使われる会場がほぼ満席となるなど、2年目以降についての関心の高さがうかがわれた。
今後の予定としては、平成29年度へ向けては、初年度食料・環境経済の一学科のみの実施だった農学部が、資源生物科学科、応用生命科学科、地域環境工学科、森林科学科、食品生物科学科を加えた全学科で実施。平成30年度に向けては、薬学部薬学科および工学部建築学科と物理工学科とが加わり、全学部全学科による実施が発表された。定員も平成30年度には108名から154名(予定)へと拡大する。なお、農学部は平成28年度から学部一括入試となったが、特色入試はその趣旨を踏まえ学科別で、薬学部も平成30年度から学部一括入試となるが特色入試は学科別で実施する。
今後へ向けての改善点も示された。主なところでは、学部毎にやや複雑だった選考日程をおよそ2パターンに集約。文学部、経済学部、農学部では第一次選考が前倒しになり、センター試験の扱いも第一次選考の資料から、最終選考の資料に変わる。
もう一つは、工学部の地球工学科、情報学科、工業化学科の3学科で示されていた出願要件(工学部は「推薦要件」と記載)から、《科学オリンピック出場》等の文言が削除されたことだ。これにより、《(化学に関する)授業科目の一環として実施した課題研究や科学(化学)に関する課題活動において顕著な実績をあげた者》(情報学科、( )内は工業化学科)、あるいはこれに加えて《又は高校課程の数学、物理、化学の内、少なくとも1科目においてきわめて優れた学業成績を修めた者》(地球工学科)に変更された。なお、詳細については、本年6月頃に発表される「平成29年度 特色入試選抜要項」で確認してもらいたい。
また、実施結果については、法学部を除いた特色入試の合格率をはじめ、エリア別や一般入試と比べた男女別の出願状況や合格状況などが示された。
京都大学では特色入試についての理解を2年目以降、一層深めてもらおうと、昨年度より3ヶ所多い、札幌、仙台、東京、名古屋、京都、広島、福岡の全国7地区で高校教員向け説明会を実施。高校生向けの説明会も、このうち京都を除く6地区に千葉、横浜、金沢を加えた9地区で行うとしている。