国立大学協会は、経団連、日本私立大学連合会など国内の経済、教育、学術団体とともに、安倍晋三首相へ科学技術予算の抜本的な拡充を求める要請をした。1億総活躍社会の実現に科学技術イノベーションの強化が不可欠とし、2016年度補正予算で5,000億円以上の追加予算措置を求めている。
要請は首相官邸であり、国立大学協会から会長の里見進東北大学総長、副会長の大西隆豊橋技術科学大学長らが出席。安倍首相に要請書を手渡した。
国立大学協会によると、要請書では日本の大学や国立研究開発法人の国際競争力が年々低下し、世界大学ランキングの上位に入る日本の大学数も減っているとして、このままではインドやアセアン諸国にも抜かれる可能性があるとした。
さらに、資源を持たない日本が先進国の一員を占められたのは、科学技術という強みを存分に活用したためで、今の状況を放置すれば1流国から3流国へなり下がることも考えられるとしている。
こうした現状を打開するため、補正予算での追加措置とともに、2017年度以降は科学技術関係予算をシーリング(※1)の対象外とし、毎年度の政府予算で対前年度比8%増を確実に実施するよう求めた。このほか、基礎研究から事業化までの産学官連携を一層強化し、常勤研究者の確保や若手研究者の育成にこれまで以上の力を注ぐことも訴えている。
(※1)シーリング 財務省に対して各省庁が行う予算編成の概算要求について、閣議で申し合わせた要求限度額。