一般財団法人あしなが育英会は、長引くコロナ禍における遺児家庭の実態を把握するため、育英会の高校・大学奨学生全員とその保護者を対象にオンライン調査を実施。その調査結果をうけ、コロナ禍で困窮する全奨学生7,612人に、年越し緊急支援金として、遺児1人当たり20万円の給付(返還不要)を決定した。
今回の調査は、あしなが育英会の奨学生計6,243名(全ての大学生2,544名と全ての高校生3,699名)とその保護者5,546名の計11,789名を対象として実施し、6,241名から回答があった。有効回答率は52.9%と非常に高く、遺児奨学生と保護者たちが置かれている極めて厳しい状況をあらわす結果となった。
調査によると、およそ1/3の遺児世帯が「コロナ禍によって収入減に見舞われた」と回答。政府からの特別定額給付金は、約7割の世帯で生活費に、約4割の世帯で学費に充当。保護者の仕事にかかわる変化・心配事で最も大きなものは、「コロナの影響による勤務時間の減少」と「それに伴う収入減」。「転職しようにも年齢的に難しい」と回答した保護者も多かった。
奨学生からは、『現金がなく、クレジットカードを使ってお金を前借りしてしまい翌月、クレジットカードの支払いでまた現金がなくなるというループになっている。服や食べ物が買えず、1日食べない日があったり少ない服を何度も着回しをしたりしている』『困っている事が多すぎてヤバい。パニック発作で死にたくなる』『進学する為のお金をアルバイトで稼げない。また、家計を助ける事も出来なくて、お腹空いている』など悲痛な現実を訴える声が寄せられた。
アンケートの結果を受け、あしなが育英会では、経済的にすでに限界に近い状態にあり、精神的にも追い詰められている遺児家庭を支援するため、全奨学生約7,600人(高校・専門学校・短大・大学・大学院)を対象に、「年越しの緊急支援金」として、ひとり20万円の給付(返還不要)を行うことを決定。さらに、多くの保護者から「相談相手がいない」「気分が落ち込んでいる」などの訴えがあったことから、2020年12月19日(土)と20日(日)の両日、午前11時~午後6時の間、あしなが育英会内に電話相談窓口を設け、「心の年越しホットライン(緊急保護者電話相談)」も実施する。
また、コロナ禍の影響で「あしなが学生募金」街頭活動が春に続き、秋も中止となったため、2020年11月1日から2021年2月8日までの100日間、オンライン募金キャンペーンも実施中。約50名の学生たちが自らクラウドファンディングサイト「GoodMorning」でプロジェクトページを公開し、「遺児と遺児家庭の声」や「ご支援者のみなさまへの感謝の想い」をそれぞれの言葉で語っている。
参考:【一般財団法人あしなが育英会】コロナ禍 追い詰められた遺児家庭 最大規模調査で判明 全奨学生 7,612 人へ「年越し緊急支援金20万円」(PDF)