内閣府のタフ・ロボティクス・チャレンジによる災害対応脚型ロボットのため、2点支持における垂直はしご昇降が可能なアルゴリズムを早稲田大学理工学術院創造理工学部の高西淳夫教授、同大学高等研究所 橋本 健二助教と三菱重工業株式会社らが開発した。
発電所やプラント内では垂直はしごを使って移動するのが必須だ。昨今では、自然災害や老朽化によるインフラ事故が度々発生しているため、人の代わりに危険な環境のもとでも作業できるロボットの開発が待ち望まれていた。しかし、既存のロボットでは、転落防止を理由に3点支持で1肢ずつ動かしていたため、動作が非常に遅いという難点があった。
この度、全身の各質点の運動と把持点での反力を適切に制御する新しいアルゴリズムが開発されたことで、ロボットは左手左足または右手右足の2点支持だけで垂直はしご昇降が可能となった。既存と比べて12倍速い垂直はしご昇降が実現し、機体の滑落も回避できる。本アルゴリズムを応用することで、垂直はしごへの取り付き動作も実現した。
今後は、脚型ロボットを危険箇所にて作業実施するため実用化に向けた展開が期待されている。また、脚型ロボットの手先と足先はフック形状で工具を使用できないため、作業能力を備えた脚型ロボットも開発が予定されている。