今春卒業した大学生の就職率が97.3%に達し、調査を開始した1997年以降で最高となったことが、文部科学、厚生労働両省のまとめで分かった。首都圏や中京圏の景気回復などが影響したとみられ、2011年に最低の91.0%を記録したあと5年続けて上昇した。
調査は国公私立大62校の卒業生4,770人を抽出し、就職希望者のうち4月1日現在で就職できた割合をはじき出した。それによると、今春卒業の大学生就職率は前年同期を0.6ポイント上回り、これまでの最高だったリーマンショック前の2008年に記録した96.9%を超えた。
大学卒業者の就職希望者割合も74.0%と過去最高となった。大学卒業者約55万7,000人に当てはめて計算すると、就職希望者約41万5,000人のうち、約40万4,000人が就職したことになる。
男女別でみると、男子学生が96.7%と前年同期を0.2ポイント上回った。女子学生は98.0%で、前年同期比1.1ポイント増。4年続けて女子学生が男子学生を上回っている。文系学生は97.1%、理系学生は98.2%で、前年同期を0.6~1.0ポイント上がった。
地域別でみれば、中部地区が98.3%でトップ。関東地区の97.9%がこれに続いた。中京圏と首都圏はともに自動車など輸出産業が好調なうえ、北陸新幹線の開業効果の影響が出たとみられる。逆に最も低かったのは九州地区の96.3%。近畿地区と東北・北海道地区は96.8%、中国・四国地区は96.7%だった。
近畿地区は業績不振の大手企業や不況業種が多いこともあり、伸び悩んだ。東北・北海道や九州、中国・四国がそれほど伸びなかったのは、人口減少やアベノミクスの経済効果が十分、地方に反映していないことが影響したとみられている。