地震などで倒壊した建物の下に取り残された生存者の小さな声を聞き分けるヘビ型ロボットが、京都大学や東北大学などの研究グループによって開発された。首都直下型地震や南海トラフ巨大地震など近い将来の発生が心配される災害救助で大いに役立ちそうだ。
京都大学によると、このロボットは長さ約10メートルのホース型。先端部に能動スコープカメラが取り付けられ、数センチの狭いすき間に侵入できるうえ、がれき内の状態を見極めながらヘビのように進むことができる。特殊な超小型マイクも複数装着し、最新の音声抽出、強調技術を用いて騒々しい捜索現場でも生存者が発する小さな声を聞き分けられるようにしている。
災害で倒壊した建物の捜索現場では、騒音で生存者の声がかき消されることが多かった。ロボットを使用するとしても、ロボットの振動に伴って発生するノイズが生存者捜索の邪魔になることが予測されていた。研究グループが熊本地震の現地調査に基づき、倒壊家屋のがれきを再現して調べたところ、実際に非常に小さい声を拾うことができたという。
災害現場では生存者を発見するめどが一般に72時間以内といわれている。研究グループは今後も性能の向上を図り、災害救助システムとしての実用化を目指していく。この研究は内閣府総合科学技術・イノベーション会議の革新的研究開発推進プログラムの一環で進められ、京都大学、東北大学のほか、東京大学、筑波大学、早稲田大学、国立情報学研究所なども加わっている。