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膵がんと肺がんを悪化させる因子を発見 診断薬開発に期待 大阪大学 - 大学ジャーナルオンライン

 早期発見が難しい膵がんや肺がんなど「難治がん」におけるがん促進因子を大阪大学大学院医学系研究科・菊池章教授らの研究グループが発見、米国医学誌「Journal of Clinical Investigation」に発表した。がんの増殖を抑えるマウス実験にも成功し、新しい治療薬やバイオマーカー開発につながる成果だ。

 2013年統計の部位別がんの死亡率を見ると、肺がんが男性1位・女性2位、 膵がんは男性5位、女性4位といずれも高くなっている。膵がんや肺がんでは、正常な細胞の増殖を促進する一部のタンパク質が異常に活性化されるため、がん細胞が無制限に増殖するとされている。「分子標的治療薬」と呼ばれる近年の抗がん剤は、この異常活性化を阻害することでがん細胞の増殖を抑制するものだが、その効果は限定的で、しかも経過中に薬剤耐性をがんが獲得してしまうという問題がある。したがって、がんの成長を促す新たなタンパク質を見つけ、その働きを阻害する抗がん剤の開発が求められていた。

 同研究グループでは、膵がんや肺がんで多く発現し、がんを増悪させることで知られるタンパク質「Dkk1」に着目。細胞表面に存在する、Dkk1に結合するタンパク質を網羅的に解析した結果、「CKAP4」と呼ばれるタンパク質がDkk1の受容体として働くこと、Dkk1とCKAP4が結合することでがん細胞の増殖を促すタンパク質が活性化されることを発見した。また、膵がんと肺がんの60%以上の患者において、Dkk1とCKAP4が多く発現しており、予後が悪いことも明らかにした。さらにCKAP4の働きを阻害する抗体を作製し、Dkk1とCKAP4が増えた状態のがん細胞を移植したマウスに投与したところ、がんの増殖が抑えられたという。

 これらの結果から、Dkk1とCKAP4が膵がんおよび肺がんの新しいバイオマーカーとして利用できること、CKAP4抗体が治療に応用できる可能性が示唆される。今後早期発見につながる新たな診断薬の開発、さらには効果の高い治療薬の開発へとつながることが期待される。

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