金沢大学が信州大学・富山大学と連携して実施する「地方創生人材教育プログラム・ENGINE」が近く、本格的にスタートする。
ENGINEプログラムは、文部科学省の「大学による地方創生人材教育プログラム構築事業」に採択されたもので、金沢、信州、富山の3大学と企業・自治体がスクラムを組み、社会変化への対応力と突破力あるトップリーダー人材の育成と北陸・信州地域への若者定着を目指すもの。金沢大学では、豊かな文化・歴史と自然環境など同大学が立地する石川の地域資源を活かし、観光やまちづくりの視点から地域の持続的な発展に貢献する人材を育成するプログラムを展開する。
教育プログラムは、3つのフェーズと専門の認定科目で構成する。リテラシー強化フェーズでは、知識を理解するための基本的な技術を学び、キャリア形成フェーズでは、働く意味について考え、職業を通じた自己実現を図るプロセスを学ぶ。その上で、実践力強化フェーズで、企業のリアルな課題を題材とした課題解決型のインターンシップを実施する。専門の認定科目には、観光やまちづくりに関する科目を配置する。また、3大学の連携体制を活かし、3大学をオンラインで繋いでワークショップを実施したり、交流型キャリア形成イベント「大しごとーく」「しごとーく」を合同で実施したりする。所定の要件を満たした学生には、金沢、信州、富山の3大学の学長連名のサーティフィケート(修了認定証)が発行される。
石川県は北陸新幹線の開通後、首都圏からの観光客ラッシュと訪日外国人観光客の急増にわいたが、コロナ禍で状況は一変した。石川には、加賀百万石の歴史と文化や日本海の水産物など人気の観光資源のほか、各地に根付く伝統文化、産業、自然など地域資源は多く、ポストコロナ時代において、これら地域資源をどう活用するかが、地域活性化への課題になる。
金沢大学の山崎光悦学長は、「産学官協働による文理融合の教育で社会変革への即応力を備えた人材を育て、大学と地域が一体となって、地域の魅力向上とブランド化を実現したい」と力を入れている。