東京一極集中の是正を協議する政府の有識者会議は、東京23区で原則として大学の定員増を認めるべきでないとする報告書の骨子案を示した。一部の委員から過度の規制に慎重論が出ていることから、今後文言を調整して5月中旬に報告書をまとめる。政府は報告書の内容を経済財政運営の指針「骨太方針」に反映させ、規制の在り方の検討に入る。
骨子案によると、東京都の大学進学者収容率は既に約200%と他の道府県より突出して高いうえ、東京23区の大学生は増加傾向が続いていることを挙げ、このままでは地方大学の経営悪化や大学撤退を招きかねないとした。現状打開には、地方自治体の取り組みや交付金による支援だけでは限界があるとも指摘している。
23区内の大学に対しては、総定員の範囲内で既存の学部学科を廃止して社会のニーズに合った新学部学科を設けることを認めるとしても、原則として大学の定員増を認めるべきではないと抑制の方向を打ち出した。
国立大学に対しては、自発的に定員削減をする場合や学部学科の見直しを行わないケースなどについて運営費交付金の配分を検討すべきとしている。
大学の地方移転では、首都圏にある大学のサテライトキャンパスを大学が少ない県に優先的に設置することを検討するよう訴えた。
地方大学の振興では、各大学への補助金配分見直しや、自治体首長の主導による産官学の連携強化を求める一方、東京の大学と連携して3年間東京で学び、4年生で地方へ戻る仕組みの検討を挙げている。