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人工知能によるがん転移の高精度な判定、国際コンペで入賞 東京医科歯科大学など - 大学ジャーナルオンライン

 東京医科歯科大学の石川俊平教授らの研究グループは、東京大学大学院の原田達也教授との共同研究により、人工知能技術「ディープラーニング」を用いて、病理組織画像からがん細胞を高精度に判定するアルゴリズムを開発。これを用いた国際コンペティションCamelyon17において乳がん患者のリンパ節転移の判定精度で世界4位に入賞した。日本国内の参加チームでは唯一の入賞。

 乳がんのリンパ節転移の有無は、患者の治療方針や予後を決定する重要な因子だ。通常は顕微鏡を用いた病理組織の観察により判定する。しかし、小さな病変は見逃されやすく、病理医による診断結果の差もあることからIT技術の利用による改善が求められていた。

 今回の研究では乳がん患者のリンパ節組織の病理組織画像において、がん細胞の領域とそれ以外の領域からトレーニングデータとして約30万枚の画像を「深層ニューラルネットワーク(注)」に読み込ませ、ネットワークの最適化を行った。その際に、ニューラルネットワークの中間層のなかから、病理組織像の特徴的な情報を取り出して効率的に学習を行うことに成功し、高精度の判定が可能になった。この結果から病理画像上に重ね合わせたがん細胞の存在確率マップを作成し、最終的なリンパ節毎の転移の有無、乳がん患者のステージの判定を行ったところ参加チーム中4位に入る精度を達成した。

 この研究成果は、乳がんのリンパ節転移の検出に人工知能技術が有効であり、がん細胞・がん組織の本質的な形態学的情報が得られることを示した。将来的には乳がん以外の様々ながんの病理診断に対しても、人工知能を用いることで施設による差を少なくして高精度化を達成できると期待される。

(注)ニューラルネットワークは脳の神経システムを模した情報処理モデルで、階層構造が深いものを深層ニューラルネットワークと呼ぶ。ディープラーニングはこれを用いた人工知能技術の一つ。

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