大学などの研究者の自由な発想に基づく研究に対し、国が助成する科学研究費助成事業の新規採択率が年々、低下していることが、科学技術・学術審議会学術分科会の研究費部会に提出された文部科学省の資料で分かった。科学研究費の予算額も2017年度はわずかな増額となったものの、減少傾向にあることは変わらず、見直しを求める声も上がっている。
文科省によると、科学研究費の新規応募件数は2011年度9万1,737件、2012年度8万8,808件、2013年度9万3,888件、2014年度9万6,528件、2015年度9万9,475件、2016年度10万1,234件と年々増加している。
これに対し、新規採択件数は2万5,000~2万6,000件台で推移しているため、新規採択件数は2011年度28.5%、2012年度28.3%、2013年度27.3%、2014年度26.9%、2015年度26.5%、2016年度26.4%と低下、次第に狭き門になりつつある。
一方、国の予算に組み込まれた科学研究費の額は、2011年度2,633億円、2012年度2,566億円、2013年度2,381億円、2014年度2,276億円、2015年度2,273億円、2016年度2,273億円と減少の一途をたどってきた。
2017年度予算では前年より11億円多い2,284億円が計上されたものの、ここ数年の減少の流れを一変させるほどの増額といえず、減少傾向が止まっていない。
科学研究費助成事業の対象は人文学や社会科学から自然科学まですべての分野を網羅している。大学などの研究者から広く公募し、応募課題について延べ約7,000人以上の複数の研究者が審査し、支給している。文科省は学術に対する時代の要請に対応するため、科学研究費の枠組みや審査システムなどの抜本的見直しを進めることにしている。