金沢工業大学バイオ・化学部応用バイオ学科の尾関健二研究室と株式会社車多酒造の研究グループは、一般的な日本酒に含まれている旨味成分「α-EG(α-エチル-D-グルコシド)」が、飲用でも塗布でも、ヒトの皮膚真皮層のコラーゲン量を増やすことを、世界で初めて実証した。
これまで、尾関教授らは培養細胞を使った実験によりα-EGに保湿機能があることを発見しており、2014年3月から株式会社車多酒造とα-EGに関する共同研究に取り組んでいた。より学術的な証明を目指し、化粧品開発で使用されている超音波真皮画像装置を導入し、ヒトによる飲用試験と塗布試験を世界で初めて実施。いずれの実験においても真皮中のコラーゲン密度が高まっていることを見出した。この効果は、年齢層が高い女性により影響が大きかった。
「日本酒を多く飲用する杜氏、蔵人、力士は肌にハリとツヤがある」と伝承的に言われてきたが、今回の成果は、この「肌のハリ」に日本酒のα-EGが起因していることを解明したものである。
同共同研究グループは、α-EGを通常の約3倍量含んだスキンケア専用純米酒「shu re」(α-EGを1.7%含有)と、純米酒配合ハンドクリーム「shu re美容保湿クリーム」(α-EGを0.1%含有)を共同開発しており、これらの商品は10月1日の「日本酒の日」にあわせて全国で販売される見込みだ。