2022年6月16日、質の高い自然科学研究を発表している機関と国について分析した2022年版の「Nature Index Annual Tables」が発表された。世界の研究機関ランキング第1位は2012年以来トップを走る中国科学院。日本トップの東京大学は8位から14位にランクダウンした。
2022年のランキング表では、中国の機関が唯一、その研究成果の発表(アウトプット)を大きく伸ばした。上位10機関のうち、4機関が中国の機関であり、1機関のみ上位にランクインした2021年から大きくその数を増やした。世界の研究機関ランキング第1位は中国科学院。2012年以来トップの地位を維持している。2位はハーバード大学、3位は5年連続でマックスプランク協会(ドイツ)だった。中国科学院の「Share(シェア)※¹」は1,963.00で、2位のハーバード大学のShareである9²10.93の2倍以上だった。また、日本のトップは東京大学で8位から14位にランクダウンし、これは2015年以降最も低い順位となる。
国別でみると、上位10カ国は2021年と変わらず、米国、中国、ドイツ、英国、日本、フランス、カナダ、韓国、スイス、オーストラリア。米国は2021年のShareが19,857.35で首位を維持したが、2021年のアウトプットは6.2%減で、上位10カ国で最大の減少率となり、「Adjusted Share※²」で測定すると2015年から最も急激に減少した。2位の中国のShareは16,753.86で、2021年のアウトプットは14.4%増加。上位10カ国の中で最大の増加率だった。上位10カ国のうち、アウトプットが増加したのは中国(+14.4%)と韓国(+2.3%)のみで、日本を含むほかの8カ国はアウトプットが減少。日本のアウトプットは5.2%減少し、米国(-6.2%)、英国(-5.7%)、フランス(-5.7%)に続く第4位の減少幅だった。
日本をみると、世界の研究機関ランキングトップ100にランクインしたのは、14位の東京大学をトップに、京都大学(37位)、大阪大学(64位)、理化学研究所(87位)と続いた。
Nature Indexの創設者であるDavid Swinbanks氏は、「中国が大規模で定評のある研究機関を通じた研究への投資が、自然科学分野での持続的な研究成果をもたらしている。2021年、中国の研究への投資は中国のGDPの2.4%を占め、この分野における中国のコミットメントを示した。ほかの国、特にドイツ、英国、フランス、日本で見られた変化と比べると、中国の資金提供による研究の成長への影響がより際立ってる」とコメントした。
※¹ Share(シェア)とは、Nature Indexの特徴的な指標で、機関、都市、国・地域に割り当てられた論文の小数カウントで、その機関や地域に所属する著者の割合を考慮している。
※² Adjusted Share(調整後のシェア)は、Nature Indexに掲載されている論文の総数の年間変動を考慮している。
参考:【シュプリンガー・ネイチャー】Nature Index 2022 Annual Tablesでは、中国の研究機関が圧倒的な存在感を示す