学校法人「加計学園」が運営する岡山理科大学の獣医学部新設で、大学設置・学校法人審議会は林芳正文部科学相に新設を認める答申をした。林文科相は答申を尊重し、速やかに判断する方針で、獣医学部は2018年春、開学する見込みとなった。加計学園は安倍晋三首相の友人加計孝太郎氏が理事長を務め、国家戦略特区活用による開設に安倍首相の関与が取りざたされてきただけに、政府の判断があらためて問われそうだ。
文部科学省によると、同審議会が新設を認める答申をしたのは、岡山理科大学のほか、日本ウェルネススポーツ大学のスポーツプロモーション学部、目白大学のメディア学部、京都外国語大学の国際貢献学部、甲南女子大学の医療栄養学部、山陽学園大学の地域マネジメント学部。
このうち、岡山理科大学獣医学部は愛媛県今治市に新設される予定。獣医学部は文科省が獣医の供給が過剰になるなどとして長く規制していたため、52年ぶりの新設となる。
政府は2016年、獣医に新たな需要があるとして国家戦略特区による獣医学部開設を認める判断をし、これを受けて加計学園が3月に新設を申請していた。
同審議会は獣医師の需要や学生の実習計画の不十分さ、教員の年齢や人数で問題点を指摘した。加計学園は獣医学科の定員を160人から140人に削減するなど計画を修正したが、同審議会は実現可能性のある計画になったかどうか不明として判断を保留。加計学園が実習計画などを再度修正していた。
同審議会は特区活用の是非について審議しておらず、野党側は政府の姿勢を追及する方針だ。