文部科学省の国立大学評価委員会は国立86大学と4つの大学共同利用機関の6カ年中期計画に対する評価をまとめた。東北大学、大阪大学、徳島大学、熊本大学の4校が「特筆すべき進捗状況」とする最高評価を受ける一方、研究不正があった東京大学や教員の給与体系見直しが遅れた和歌山大学が「遅れている」と判定された。
評価委員会は6カ年中期計画の初年度となる2016年度の達成状況について、「業務運営」、「財務内容」、「情報提供」、「その他の業務運営」の4項目ごとに6段階で評価を下した。
それによると、最高評価となる「特筆すべき進捗状況にある」という評価を受けた4校は、東北大学が米国居住者らから寄付金を受け入れる窓口の整備、大阪、徳島の両大学が製薬企業と産学連携の取り組みを進め、「財務内容」で高く評価された。熊本大学は熊本地震直後の迅速な対応や自治体と協力した復興計画の策定で「その他の業務運営」が高評価を得た。
最低評価を受けた大学や共同利用機関はなかったが、東京大学は分子細胞生物学研究所の教授らによる論文のデータねつ造や改ざんが明るみに出て、「その他の業務運営」で「遅れている」と判断された。和歌山大学は教員の給与体系の見直しが大幅に遅れていることから、「業務運営」で「遅れている」と評価されている。
このほか、論文不正が発覚した群馬大学と九州大学は法人としての管理責任が問題視された。北海道大学や名古屋大学など15校はコンピューターへの不正アクセスによる情報流出を問題と指摘されている。