企業が大学で学ぶ研究分野として重視するのが、自社の発展のためなら工学系、経済成長のためなら経済系であることが、民間調査機関・帝国データバンクの調査で分かりました。その一方で、社会の発展には医学系に期待し、工学系や経済系についてそれほど重視していない企業の見方も明らかになっています。
日本経済の成長では、経済・経営・商学系64.5%、工学系63.0%がともに6割以上を占めました。さらに、理学系、農林水産系、国際関係学系が5割台となっています。自社の発展や日本経済の成長には、工学系や経済・経営・商学系を重視する企業の考え方が浮き彫りになりました。
これに対し、社会の発展では、医・歯・薬学系が63.3%でトップ。看護・保健学系、教育学系、文学・語学系がそれぞれ6割台となる一方、工学系は12位、経済・経営・商学系は14位にとどまっています。自社の発展、日本経済の成長と社会の発展で重要と考える分野が大きく食い違っていることが、明らかになりました。
自社の業務に当たり、文系と理系の出身者で求めることに違いが「ある」と回答した企業は29.2%。業種別では製造42.8%と建設39.0%で割合が高く、中でも精密機械、医療機械・器具製造だと7割近くに達しています。従業員数が多い企業ほど「ある」の割合が高くなる傾向も見られました。
企業からは「高等教育は総合成績だけでなく、語学と経済学、理学と医学など学際的な融合を望む」、「学部や学科に関係なく、真実を深く探求しようとする行動力を身につけてほしい」など、必ずしも学問分野にとらわれない教育を求める声が多く挙がりました。さらに、ものづくり大国の地位を維持するため、工学系学生のレベルアップを希望する意見も出ています。