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大阪大学と滋賀大学、抗がん剤の効きやすさを左右する遺伝子を数理解析で同定 - 大学ジャーナルオンライン

 大阪大学大学院医学系研究科と滋賀大学データサイエンス学部の共同研究グループは、遺伝子の発現量やDNAメチル化修飾データを統合する新しい数理解析法を開発し、食道がん細胞の抗がん剤への効きやすさを左右する新規遺伝子を同定した。

 最近のがん研究から、遺伝子の発現量やDNAメチル化修飾の異常が、がんの形成や進行に影響を及ぼすことが明らかになってきた。例えば、胃がん細胞では、ピロリ菌感染後にNKX6-1という遺伝子がメチル化異常を起こし、がんの再発につながることが知られている。このように遺伝子の発現量やメチル化修飾の異常が、がんの悪性度に影響を与えることは分かっていたが、全遺伝子(約22000遺伝子)の発現量、メチル化修飾量はデータ量が膨大であることから、統合した解析がこれまで困難だった。

 今回、同研究グループは、遺伝子発現量とDNAメチル化データの統合解析を可能にする数理解析法を新規に開発した。毎年1万人が亡くなる「食道がん」に注目し、ヒト食道がん細胞データを本数理解析法により調べたところ、食道がん特異的に遺伝子発現量が上昇し、メチル化修飾量が減少している新規遺伝子TRAF4を同定することに成功した。さらにこの遺伝子は、食道がんの抗がん剤への効きやすさを規定する遺伝子であることも明らかにした。

 今後、その他のがんに対しても同様の解析を行うことで、様々ながん腫での抗がん剤の効きやすさを左右する遺伝子を同定できると期待される。

論文情報:【Scientific Reports】Computational trans-omics approach characterised methylomic and transcriptomic involvements and identified novel therapeutic targets for chemoresistance in gastrointestinal cancer stem cells

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