高校生が身近で感じた問いからビジネスを考えるアントレプレナーシップ・プログラム「高校生Ring 2022」の最終審査会が東京都内で開かれ、大阪府柏原市の東大阪大学柏原高校生による県外進学者のためのホームステイマッチングサービスがグランプリに選ばれた。
主催のリクリートによると、マッチングサービスは発案した生徒が中学進学時に地元にバドミントン部がなく、祖母の家から通学することでバドミントン部のある学校へ進学できた経験を基に発想した。
この生徒がSNSを通じて全国の中高生約500人にアンケート調査したところ、約50%が県外進学を希望していたが、10人に1人は寮がないために断念していることが分かった。そこで、家族が巣立って空き部屋がある高齢者の自宅に目をつけ、遠方の学校に進学したい生徒と空き部屋を有効活用したい高齢者をマッチングするサービスを思いついた。これが実現すると、過疎地域など高校存続のために県外からの生徒を受け入れようとしている学校側にもメリットがある。
審査員からは「高校生の視点でしか思いつかないアイデア。空き家の増加や高齢化社会の進行に苦しむ社会へのインパクトも大きい」と高く評価された。受賞者は「世の中のサービスが、ある人の小さいひらめきや身近なことから生まれているということに気づいた」とコメント。ICTを活用していく技術を生徒が考えたり、培っていけるといいと考え参加したという先生は「ICT学習はインプットばかりになってしまいますが、このプログラムでアウトプットする経験に活用できることを学びました」とコメントしている。
準グランプリは洛南高等学校の総合探究コース第1期生にあたる生徒たちが受賞。外出先にある美容院で安価に自分で髪形を直すことができるサブスクリプションサービスの提案で、自身が感じる課題だけでなく美容院側の「広告費をかけずに店舗に顧客を呼び込むことができる」というメリットも考えられており、審査員からは業界がここに機会を見いだせられたら良いビジネスになると評価された。受賞者は「自分が感じている課題を誰かに解決してもらうのではなく、自分で解決できる可能性があると気づくことができた」とコメントしている。