東京大学と電通グループの情報通信サービス会社・電通国際情報サービス(東京、釜井節生社長)は、ランニングフォームなど身体の動きをこれまでより簡単な仕組みを使って3Dデータ化し、解析する新システムを開発しました。東京都世田谷区の駒沢オリンピック公園で開かれた「スポーツ博覧会・東京2015」に参考出展し、一般来場者を対象にランニングフォームの解析と専門家による指導をしました。
電通国際情報サービスによると、新システムは、複数のセンサーが設置されたエリア内を人が通り抜けると、身体の動きをリアルタイムで3Dデータ化し、解析します。米マイクロソフト社製のセンサーを採用し、人体にマーカーなどを装着することなく、単純な機器構成で動作情報を3D化することに成功しました。
3Dデータを用いたスポーツ動作解析システムは、モーションキャプチャーなどの技術によって実現され、主にトップアスリートの技術向上を目的に活用されています。しかし、その多くが人体に多数のマーカーを装着しなければならないうえ、データ解析に時間がかかったことから、利用環境や用途が限定されていました。
新システムは、体育の授業での運動フォーム指導や病院でのリハビリ支援など幅広く活用するための第1歩として開発されました。将来は多くの人の動作情報がスポーツビッグデータとして蓄積され、歩き方の傾向から未来の体型や疾病を予想するなど、より高度な利用も可能になるとしています。
東京大学大学院の暦本純一教授は「技術の進化により、これまで特殊な環境でしか利用できなかったトレーニング手法が、どこでも誰にでも利用できるようになるかもしれない。今回の新システムをその先駆けとしたい」と話しています。
※モーションキャプチャー 人間にマーカーをつけ、マーカーの動きを処理してCGでキャラクターの動きに再現する技術。