埼玉工業大学は、2023年4月1日開催の入学式で自動運転スクールバスを特別運行し、新入生と保護者を送迎した。自動運転バスを使った入学式の送迎は全国の大学においても例のない先進的な事例。AI人材育成を強化している同大学は、新入生が早期にAIの応用を体験できるよう、今後も通学で試乗する機会を設ける。
埼玉工業大学は、2019年に私立大学初となる一般の公道を走行可能な自動運転バスの開発を開始して以来、地元企業や埼玉県と協力し様々な実績を築いてきた。現在は定員58人乗りの大型バスを使った自動運転の実証実験用車両を開発し、路線バスとして営業運行するために緑ナンバー(業務用)を取得。全国各地の実証実験に参加し先進的な研究成果を出している。
自動運転バスには、障害物の検知(識別・分類)機能を強化した自動運転AIを搭載。複数のライダーやカメラの画像情報をディープラーニング(深層学習)により周囲環境としてAIで認識して、障害物を回避する仕組みが備わっている。また2023年2月に行われた愛・地球博記念公園(愛知県長久手市)での園内バス実証実験では、AI映像解析技術を活用した接近注意アナウンスや、複数のカメラ映像を5Gにより伝送して遠隔管制室と車両との間でコミュニケーションを取りルート上の危険を検知して事故等を防ぐなど、様々なAI技術の応用に取り組んでいる。
こうした技術開発の最前線を学生にも積極的に体験してもらおうと、埼玉工業大学は、2022年9月からスクールバスに自動運転バスを導入。最寄り駅(JR高崎線「岡部駅」)間の約1.6kmの公道を、一般車両と混在して法定速度内において走行している。工学部情報システム学科AI専攻だけでなく、全学部学科でAIの基礎を学べる教育カリキュラムが用意されている環境で、学生たちは生活のなかでAIの応用を自然と体感できるようになっている。
入学式を皮切りに、2023年度も4月14日(金)~7月21日(金)の毎週月曜日と金曜日の週2回、1日9便スクールバスを運行する。自動運転スクールバスの試乗を通じて、新入生たちがAIへの取り組みを体験し、学びに活かす機会を提供する。
参考:【埼玉工業大学】入学式で初めて新入生を大型自動運転スクールバスで送迎