芝浦工業大学工学部では、2024年から「学科制」が「課程制」へと改組される。なぜ、1949年以来継続してきた学科制による教育に終止符を打ち、課程制を導入するのか。そして、新たに生まれ変わる工学部では、どのような教育が展開されるのか。工学部長の苅谷義治教授にお話をうかがった。
首都圏の大学としてはじめて課程制を導入
1927年の開校以来、芝浦工業大学は「社会に学び、社会に貢献する技術者の育成」を建学の精神に掲げ、実学重視の教育を展開してきた。しかし、2020年代を迎え、産業構造の変化や複雑化によって、社会で求められる人物像も変化してきている。こうした状況を背景に同大学工学部は、2024年4月より「学科制」から「課程制」へと改組され、現在の9学科から5課程9コースへと移行することとなった。課程制の本格的な導入は、首都圏の大学としてはじめての試みとなるが、1学年約1000人の学生と教員約150人を擁する工学部の大規模な変革について、苅谷教授はこう語る。
「これまで工学は豊かさや便利さを追求してきましたが、これからは課題解決の方向に向かわなければなりません。工学には今、既存の手法や価値観にとらわれない新しいアプローチが求められているのです。そのキーワードとなるのが、分野横断型の専門知識の育成であり、課程制の導入であると、本学では考えています」
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