金沢工業大学建築学部の後藤正美教授(耐震工学)の研究室とジャパンドームハウス株式会社は、共同で農業用ドームを研究開発。そのドームは自然災害への強靭性があり、国際連合が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)にも貢献できると期待が寄せられている。
後藤研究室では、ジャパンドームハウス株式会社と長年にわたって機能性耐久樹脂を新素材としたドーム型ハウスの研究開発に取り組んできた。素材として食品のトレイに使用され、かつ電化製品の緩衝材に使用されるなどの強度性も併せ持つ発泡ポリスチレン(EPS)を採用。日本では従来、木材、鉄、コンクリート以外は構造材として認められないが、開発した農業用ドームは建築構造材としての強度や硬さを確保し、難燃加工やUVカット塗装など特殊な加工を施すことで、日本で初めて「発泡ポリスチレンを構造材としたドーム型建造物」として国土交通大臣認定を受け、製品化された。
また、農林水産省、経済産業省、国土交通省から「建築確認申請が不要」と認められ、ビニールハウスと同等としての取扱いが可能。さらに、壁の厚み20cm全てが断熱材で、密閉性と断熱性が高く極めて省エネ。そのため、自然災害が頻発し気象状況がめまぐるしく変化する環境下においても、内部の温度や湿度などを保ちやすく、病害虫・害獣などによる被害も防ぐことができる。強靭性を備えたこの農業用ドームは、国連全加盟国が達成を目指すSDGs(持続可能な開発目標)の中で掲げられている「すべての国々で、気候関連災害や自然災害に対する強靭性及び適応力の強化」の点でも貢献できると期待が寄せられている。