金沢工業大学工学部情報工学科4年の間山美和さん(研究指導教員 中沢実教授)は「遠距離恋愛支援システム・心拍と体温でつながる抱き枕」のプロトタイプを開発した。
就職や転勤などで遠距離恋愛になった場合、相手と時間を合わせることが難しいと、リアルタイムではない非同期コミュニケーションが多くなる。また、”ぬくもり”や”存在”といった非言語コミュニケーションをとることもできない。こうしたコミュニケーションの課題に対し、先行研究として株式会社国際電気通信基礎技術研究所が開発したクッション型メディア「Hugvie®」などがある。しかし現状は同期型コミュニケーションを想定したものが中心で、「会えなくて寂しい」「電話できないし寂しい」といった不安を非同期で支援する策は少ない。
そこで間山さんが提案したのが「遠距離恋愛支援システム・心拍と体温でつながる抱き枕『HALOP』」だ。電気ヒーターを内蔵した抱き枕に、スマートフォンを入れて使用する。利用者は、体温と同じぐらいに温かい抱き枕の中からスマートフォンのWebアプリで再現された相手の心拍音を聞き、好きなときに相手のぬくもりとつながりを感じることができる。
『HALOP』で使う相手の心拍音は、腕時計型のウェアラブル端末「Fitbit」を通じて心拍数を計測し取得。心拍音は心拍の音に似た音を心拍数にあわせてWebアプリで再現する。心拍情報さえ分かれば芸能人の心拍の再現も可能という。
21名に行ったアンケートでは、「遠距離恋愛で寂しいと思ったときにこういうものがあったらいいと思いますか?」との問いに、95%が「思う」「少し思う」と回答。また心拍と体温を利用するというアプローチに対しても100%が「良い」「まあ良い」という回答があり、コンセプトの需要は概ね高いという結果となった。