大阪大学歯学部附属病院、株式会社モリタ、株式会社モリタ製作所は、歯科診療におけるIoTセンシングデータと膨大な診療中の映像をAIにより学習させた「歯科診療認識AIチェアユニット」の開発をスタートした。大阪万博までに歯科診療ビッグデータ構築基盤の整備を目指す。
昨今の歯科医療では、医療情報を安心・安全な形で再利用(二次利用)し、社会的課題の解決に役立つ新しい医療サービス創出の動きが活発化している。しかし、課題解決に利用できる歯科診療状況を俯瞰するために必要となるデータの蓄積は十分ではない。そこで開発グループは、歯科医療と情報機械技術の融合による歯科診療状況データの蓄積と利活用を行い、診療の効率化と安全性の向上の両立を目指す。
現在、大阪大学歯学部附属病院では、歯科処置のプロセスをAIが認識し、様々な歯科処置(う蝕や根管処置等)内容を自動で推定する取り組みを行っている。今回、このAI技術とモリタ製作所が開発したIoT(モノのインターネット)センシング付き歯科用チェアユニットとの統合を行い、あらゆる歯科診療中の出来事を克明に記録可能な「歯科診療認識AIチェアユニット」の開発を行う。
この次世代歯科用チェアユニットシステムより得られるデータから自動的にカルテを作成して診療を効率化させ、患者の状態を見守ることにより、とっさの異常に対応可能な医療安全の向上を図る。将来的にはこのシステムの普及により、世界中の歯科診療状況をモニタリングしたビッグデータの集積・解析を目指すという。
今回の開発は、2025年の大阪万博に向けて、未来の歯科医療の提案につながり、日本の超高齢・多様性社会に適応した歯科医療の提供が可能としている。