ガールスカウト日本連盟は、全国47都道府県の大学生年代の女性(18~25歳)を対象に、同年代の女子ユースチームが行った「女子大学生×ジェンダー調査報告書2020」を公開した。
この報告書は「女子大学生のジェンダーに関する現状はどうなっているのか」と疑問を持った同年代の女子ユースチームが実施した調査をまとめたもの。ガールスカウト会員216人・元会員37人・一般283人の計536人が回答した。「女性は人生の選択の可能性を狭められている」「多くの女性は性的な嫌がらせや性差別を受けたことがある」「女性のあり方はメディアから大きく影響をうけている」以上3つの仮説を立てたうえで調査を実施し、回答を分析した。
報告書によると「普段の生活で、性的な嫌がらせや差別を経験したり見たりする」と回答した女子大学生は92%。2019年にリリースした「女子高校生調査」での女子高校生の66%を大きく上回る結果となった。また、性的嫌がらせを受けたり見たりする場は「インターネット」86%、「メディア」83%、「公共の場」64%、学校「51%」、「アルバイト中」「就職活動中」がそれぞれ39%、職場「38%」、「家」26%だった。
この結果ついて、報告書では「メディアやインターネットは発信者の考えを反映し、受け手に不快な思いをさせるだけでなく、意識にも大きな影響を及ぼしている。例えば、メディアから伝えられる古いジェンダー観が、差別や嫌がらせを助長している」と指摘。
就職活動においては、「顔採用がある」「就職活動で化粧必須というのは性差別だと思う」などの意見から、「女子大学生があからさまに女性らしさを求められる場のひとつである」と表現した。さらに、企業から「女性は出世できないと言われた」「結婚の予定があるか聞かれた」「女性には営業職は難しいから一般職を勧められた」など、昔からの性差別が企業側に残っていることを示す回答が多く挙げられた。
また、「メディアが理想の女性像を作っていると思うか」という質問には、54%が「思う」と回答。美しさなどの外見だけでなく、料理上手で家事ができ、子育てをするなどの役割も含まれるため、女子大学生たちは、女性が働くことを推進される社会でありながら、「家庭的」な面も求められる2つのイメージの間で板挟みになっていると指摘している。