京都大学大学院薬学研究科の石濱泰教授らは、プロテオーム統合データベースjPOSTを開発し、全世界に向けて公開した。本データベースは、京都大学を中心とし熊本大学、九州大学、新潟大学、情報・システム研究機構、科学技術振興機構(JST)を含むオールジャパン体制による開発だ。
プロテオームは「発現しているすべてのタンパク質」を意味し、「生命活動を直接担う」分子群であることから、創薬分野を中心に大きな注目を集め、さまざまな大型国際研究が行われてきた。プロテオームデータは、データベースの形で欧米を中心に各地で蓄積され、国際連携が進んでいるが、これまで、日本には同様のデータベースが存在せず、国産のデータを海外のデータベースに登録せざるを得なかったという。
今回開発したjPOSTデータリポジトリシステム(リポジトリはデータの一元的な貯蔵庫のこと)は、国内外に散在している種々のプロテオームデータを標準化・統合化・一元管理したものだ。本システムでは、多彩な生物種(ヒト、動物、植物、酵母、細菌など)、翻訳後修飾(リン酸化など)および絶対発現量情報を付加した、世界初の横断的プロテオーム統合データベースの構築を行っているとのこと。
jPOSTは、アジア・オセアニア地域における初めての国際標準プロテオームデータリポジトリであり、2016年度国際ヒトプロテオーム機構・プロテオミクス標準化構想会議(ベルギー)において、国際標準のデータリポジトリシステムを提供するProteomeXchangeコンソーシアム(PXC)への加盟が宣言された。今後、アジアを中心に世界中のプロテオームデータをjPOSTに収集することが可能になるとしている。