学生の定員割れで経営難に陥る私立大学が相次ぐ中、文部科学省は有識者会議を設置、対応策の協議を始めた。18歳人口が減少に転じる「大学の2018年問題」を控え、私立大学の統廃合や連携促進策についても議論する方向で、2017年3月に報告書をまとめる。
有識者会議は今後、月に1回程度開かれ、私立大学に関する問題点を整理したうえで、私立大学のあり方に一定の見解を打ち出すとともに、具体的な対応策について意見交換する。
文科省によると、国内の18歳人口は少子化の影響で減少を続け、2014年で118万人。現在は一時的に横ばいが続いているものの、2018年から再び減少に転じる見通しだ。
私立大学は既に過当競争となり、2015年度で43.2%が定員割れの状態。愛知県新城市の愛知新城大谷大学、広島県坂町の立志舘大学など廃校や吸収合併、キャンパス廃止を強いられるところが相次いだ。中でも、人口減少が著しい北海道や東北、中四国の地方私立大学は、定員割れが常態化し、経営悪化が深刻さを増している。
山口県山陽小野田市の山口東京理科大学、高知県香美市の高知工科大学など計7校は、経営難から地元自治体に助けを求め、公立大学として再出発した。北海道旭川市の旭川大学は入学生の減少に危機感を強め2月、旭川市に公立化を要望している。
しかし、今後、さらに人口減少が続けば、地元進学希望者の受け皿となるだけでは、経営を維持できないとみられている。この影響は地方の国公立大学にも広がると予想する声もある。