順天堂大学医学部総合診療科学講座の内藤俊夫教授らの研究グループは、性感染症(Sexually Transmitted Infections:STI)の受診促進や予防、罹患リスクのデータ集積を目的とした、性感染症セルフチェックのスマートフォンアプリ「STI OMOIYARI iOS版」を開発し、公開した。
近年、梅毒患者が急激に増加するなど国内における性感染症(STI)の蔓延が問題となっている。HIVの新規感染者については、先進国で唯一、増加に歯止めがかからない状況だ。
性感染症は疾患の性質上、受診をためらう患者も少なくなく、それが病状の進行や感染者の拡大に繋がっている。また、A型肝炎・B型肝炎・尖圭コンジローマ(ヒトパピローマウイルス感染症)などの性感染症はワクチンで予防可能であるにも関わらず、ワクチンの認知度は低く、予防に役立っているとは言えない。
性感染症セルフチェックアプリ「STI OMOIYARI」は、性感染症の受診促進や予防とともに、より多くの性感染症に罹患した患者からデータを回収し調査を行うことで、今後の予防法や治療法向上へつなげることを目的として開発した。
「STI OMOIYARI」では匿名で性感染症のセルフチェックができるほか、セルフチェックで罹患の可能性があった時は郵便番号を入力し、最寄りの検査機関(保健所)を検索することができる。また、受診、検査、ワクチン接種のスケジュールを管理できるカレンダー機能や性感染症の症状や感染経路などについて知ることができる教材画面も設けられている。
研究グループの代表、順天堂大学医学部総合診療科学講座の内藤俊夫教授は『今回開発した性感染症セルフチェックアプリ「STI OMOIYARI」によってビッグデータが収集できれば、より直接的に性感染症罹患者の推定が可能になると考えられます。さらに、全てのiPhoneユーザーを対象にした研究であることから、性感染症に罹患しなかった被験者の情報も収集され、今まで不明瞭であった性感染症罹患者数の推測や性感染症ワクチンの有効性などについても把握することが可能となります。自分と大切な人を性感染症から守るために、受診、検査、ワクチン接種、予防を促進し、性感染症の減少に貢献できるアプリを目指しています』とコメントした。
「STI OMOIYARI」はApp Storeから無料でダウンロードできる。