政府は国立大学の学長選考会議に学長の影響が及ばないようにすることを柱とした国立大学法人法の改正案を閣議決定した。学長選考会議に選考後の職務執行状況をチェックする機能を持たせ、学長の暴走をストップさせる役割を任せる。
文部科学省によると、学長選考会議は名称を「学長選考・監察会議」と改める。法人の理事は教育研究評議会で選出されれば委員に加わることができるが、学長は委員を兼任することができない。大学共同利用機関法人の機構長も同様とする。学長の解任要件に該当する恐れがある問題や法令違反の疑いがある事例が発生したときは、学長に対し職務の執行状況について報告を求めることができる。
一部の国立大学法人では学長が委員に名を連ねたり、教授ら学内出身の委員が過半数を占めたりして、学長の強い影響が学長選考会議で見られた。こうした事例を法改正で明確に防止し、選考会議に監察機能を追加して学長の暴走を未然に防ぐことが狙いとみられる。
北海道大学では2020年、当時の学長が威圧的な言動などで解任されたほか、旭川医科大学では病院長の解任に対し、教授らが学長の解任を求めるなど、国立大学の学長をめぐるトラブルが多発している。