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【第7回】性質の異なる“知”を持つ教員陣に学ぶ~研究者教員と実務家教員~ - 大学ジャーナルオンライン

 専門職大学では、専任教員のうち4割以上の「実務家教員」を配置することが義務付けられています。実務家教員の定義は、専門分野において概ね5年以上の実務経験を持ち、かつ高度な実務能力を有すること。こうした実務家教員の存在は、専門職大学が既存の大学と異なることを示す、大きな教育特長の一つです。

 

 

 グローバル化、AI・ICT技術の発展、そして近年では新型コロナウイルス感染症の流行等、世界が目まぐるしく変化する中、日本における人材育成の質の向上は長らく懸案とされてきました。既存の大学では、主に学術研究の領域でキャリアを積んできた「研究者教員」が大半を占め、特定の学問を深く研究することを目的とした教育体系と、そのもとで構成された従来のカリキュラムで学問追求の成果を得られる一方、上述のように急激な変化を続ける実社会のニーズに対応しきれない等といった状況が昨今ますます課題視されるようになったのです。

 そこで、専門職大学では、専門分野の理論を追究してきた「研究者教員」に加え、現場で活用できる知識・技能、経験を備えた「実務家教員」、両者それぞれの専門的・実践的な知を、理論と技能の両輪で体得していく“二刀流”の教育を行います。こうしたハイブリッドな学びの環境を構築することで、各業界が求める高い専門性を身につけ、業界をリードする人材の育成を目指しています。

 

 

 実務家教員による教育には、大きく2点のメリットがあります。

 1点目は、実務経験があるからこそ持ち得る各人の知識や見解を直接学べること。例えばICT・情報の分野を学べる専門職大学では、企業におけるネットワーク開発やシステム構築に携わった教員、経営・ビジネスの分野では、実際に会社設立を行い、取締役を務める教員、アート・デザイン・コンテンツの分野では、現役のマンガ家やデザイナー、アニメーション作品の監督…といったように、さまざまな分野の専門家である教員が学生を直接指導します。

 講義以外の時間も、少人数制教育ならではの距離感でコミュニケーションを育むことができ、特定分野の仕事を経験しなければ知り得ない現場の課題や求められる能力・資質、業界動向といった“生きた知識”を学ぶことが可能です。企業における人材育成やマネジメント、業務上の意思決定等、社会人であれば日々当たり前のように直面し、対応を重ねてきたことで身に付いた課題解決力や経験則は実務家教員の武器であり、全てが未経験の学生にとっては、大いに役立つ実践的な知識といえます。

 

 

 2点目は、産業界と大学の連携により、学生は希望する業界で、在学中600時間以上の企業内実習で実務を経験し知ることです。

 「学び」と「社会」の架け橋となる実務家教員がもたらす実践的な業界知識、産業界との協力連携をはじめとする“生きた学び”により、「課題発見・解決力」、「コミュニケーション能力」等の「社会人基礎力」を、学生は、在学中に経験し、理解し、身につけることが可能です。また、専門職大学ならではの学びやこのような経験の積み重ねが、卒業後の就職先選定・進路決定に生きてくることも期待されます。

 身につけた能力を実社会で活かし、専門性の高い業界でどんな変化にも対応できる、柔軟かつ創造性を持った人材を育成すること。そして、こうした人材を輩出し、日本国内ひいては世界で成長を続けるさまざまな産業界に大きく貢献すること。これこそが専門職大学の目指す姿であり、現代社会が専門職大学に期待する役割といえるのではないでしょうか。

 

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大学ジャーナルオンライン編集部

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